赤ちゃんはレム睡眠が多い

人間の眠りは、一生のうちでゆるやかに変化します。
胎児期と新生児期にはレム睡眠が大半を占めます。
この睡眠は、大脳の未発達な生物の眠りに似た古い型の眠りといわれています。

脳の発達していない原始的な動物の場合、
小さくてあまり使わない脳を休ませる必要が少ないので、
ノンレム睡眠(脳の睡眠)が少ないのです。

人間は、進化によって脳の働く機会が増え、
消費エネルギー量が増えました。
そのため疲れた脳を休める必要が生じたのです。
「大脳を休ませ、回復させる眠り」であるノンレム睡眠は、
大脳の発達とともに獲得した新しい型の眠りといえます。

新生児ではレム睡眠が総睡眠時間の50%を占めています。
その後、成長とともにレム睡眠は次第に減少し、
小児期では20%程度になり、成人とあまり変わらなくなります。
さらに年を重ねるごとに減少していき、高齢者では15%程度になります。

レム睡眠には、昼間に受け取った視覚、聴覚、味覚、嗅覚、感情の動きなどの
さまざまな情報を、整理・記憶・消去する働きがあります。
未知の世界にデビューしたばかりで、
見るもの聞くものが新鮮で、
覚えることが多い新生児ほどレム睡眠が多くなるのは、
当然のことかもしれません。

 

出典:宮崎総一朗『伸びる子供の睡眠学』(恒星社恒生閣、2009年)、p27


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