早起きするためには

明朝、重要な試験や面接がある場合、
またはゴルフに出かけるために早起きしなければならないことがあるときに                   どうすればよろしいでしょうか。

知人の町長さん(60歳)の若かりし頃の「早起き失敗談」です。
彼は、大学卒業を前にある新聞社に入社を希望して試験を受けることになっていました。
いつもは夜12時を過ぎて眠るのが常でしたが、
少し風邪気味でもあり、明日は大切な面接とのことで、いつもより早く夜9時には布団に入りました。

しかし、10時、11時になってもなぜか目がさえて眠れません。
「眠れないとまずい!」と焦ってしまいました。
風邪薬を飲み12時を過ぎて、やっと寝付けたのです。
翌朝、目を覚ますと時計は9時を指していました!
急ぎ身支度をして試験場に着いたときにはすでに面接は終わっており、希望はかないませんでした。
帰郷して地方の新聞社に入り、その後町長になったのですが、
「あの頃、睡眠の知識があれば私の人生も変わっていたかもしれない」としんみりと話されていました。

 

起床時間で決定

 

私たちの体は、朝に目が覚めてから約15時間後前後で眠くなるというメカニズムを持っています。
その理由の一つは、
朝起きて日の光を浴びてから約15時間前後で体内時計の作用で眠りのホルモン
「メラトニン」が増えてくるからです。
また、私たちの大脳は15時間以上使っていると疲れて眠くなることも関与しています。
朝起きた時間で、夜眠る時間がすでに決まっているのです。
いくら早く寝ようと思っても、眠くなる時間はすでに決まっているので、
早く眠りたいときには、その日の朝に早起きしておかなければなりません。
では、この町長さんの場合はどう対処すればよかったのでしょうか。
ポイントは前日の起きる時間にあります。
翌朝の面接に備えて前日の朝に少し早めに起きることです。
その後日中はしっかり頭を使って試験対策をし、
眠る前に興奮しているようであれば軽くストレッチ等をします。
そうすれば、自然に早い時間に寝つくことが出来、試験に合格していたかもしれません。

 

昼は太陽の光に

 

眠りのホルモン「メラトニン」は、
朝起きて約15時間前後で分泌が開始され、ヒトを眠りに導きますが、もう少し説明しましょう。

メラトニンには眠気を誘う作用がありますが、
このメラトニンはトリプトファンというアミノ酸を原料に、セロトニンを経て合成されます。
トリプトファンは体内で合成することができないため、食事からとるしかありません。
トリプトファンを多く含む食品には肉や魚、納豆、卵などがあります。
そこでこれらの食品と、                                                   脳のエネルギー源になる糖質を朝食でバランスよくとるようにすることが重要です。

朝ご飯をしっかり食べると、太陽の光にあたってセロトニンが合成され元気に活動できます。
夜になると、このセロトニンがメラトニンに変換され、ぐっすり眠れるのです。
昼間に日の当らない室内で過すと、夜に眠れなくなります。

眠気を誘うホルモンのメラトニンは暗くならないと分泌されません。
夜、いつまでも電気をつけて明るくしていると、メラトニンが生成されず眠くなりません。

あるビジネスマンが、「新幹線の最終に乗って帰宅すると、なぜか寝つきが悪い」と話していましたが、
これは夜9時以降に列車内の明るい光にあたってメラトニン分泌が抑制されたからなのです。
「夜は暗くして快眠モード」にすることが大切です。

 

「出典:宮崎総一郎 『全国商工新聞 』2012年10月22日」


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