寝室の光活用重視を

光をうまく活用することも、良い睡眠をとるコツです。
明るさ(照度)は、一般家庭の昼の室内で300~500ルクス、
夜間は500~700ルクス程度です。
夜のコンビニやスーパーは1500~1800ルクス、
晴れた日のオフィスの窓際は2500ルクス以上、
青天の日中の屋外は2万ルクス以上です。

光が2500ルクス以上だと、脳の松果体で産生される睡眠誘発ホルモン、
メラトニンの分泌が抑制され、覚醒度を上げます。
夜間の光が明るすぎると、メラトニンの産生自体が抑制され、
寝つきが悪くなります。
500ルクス以下なら分泌が再開し、寝つきをよくします。

中高校生が夜間、コンビニなどにたむろし高照度の環境に長時間いると、
寝つきが悪くなり、遅刻や不登校の要因になるという指摘もあります。

朝、目覚めて三~四時間以内に2500ルクス以上の光を浴びると、
日中の覚醒度が高まり、夜眠くなる時間が一時間程度早くなります。
夕方から夜にかけて強い光を浴びると、睡眠の時間帯が後ろにずれます。

外出機会の少ない高齢者や、寝たきりの人を自然光に当たるようにしたり、
室内で高照度の光を浴びせたりすると〈高照度光療法〉、
睡眠が改善し、昼夜逆転や深夜徘徊が減少したとする研究もあります。

寝つきの悪い人は朝日に当たり、
夜は照明を100~200ルクス程度と、暗めにしましょう。
早寝で早起きしすぎる人は、夕方の太陽光に30分以上は当たりましょう。

寝室の環境も大切です。寝室の光は暗い方が良いのですが、
50ルクス程度の照明を床が見えるように置くのも良いとされています。
朝は自然光が入るよう、カーテンを工夫した方が目覚めも良くなります。
室温は高すぎても低すぎても深睡眠が減少し、中途覚醒が多くなります。
寝室の室温は、夏は27度前後、湿度50~60%に、
冬は13度前後、湿度50%に調整します。

ベッドのマットレスは手で押して3センチ程度沈むのが良いようです。
枕は首筋の骨がまっすぐで無理のない状態になるのが望ましいといえます。
人により違いますが、5~6センチの高さがめどです。
いびきのある人は横向きになるよう、抱き枕などを利用します。
防音は交通騒音だけでなく家庭内の生活騒音の対策も必要です。
家の新築や改修に際しては、
人生の三分の一を過ごす寝室の重要性を認識しましょう。

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 15」 『琉球新報』 2008年8月5日

 


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