夜勤でもリズム障害

睡眠リズム障害には、
長時間の海外旅行による時差ぼげや夜勤などの交代制勤務によるものもあります。

時差ぼけは時差のある地域ヘ
ジェット機などの速い乗り物で長時間移動するときに出現します。
”ジェットラグ”ともいわれます。
体内時計の進み具合と現地到着時間にずれが生じてうまく順応できなくなり、
夜間の不眠、日中の眠気、だるさ、集中力や食欲の低下などが出現します。

日本との時差はヨーロッパ8時間、ニューヨーク13時間、ロサンゼルス16時間です。
ニューヨークは日本とほぼ昼夜逆転しています。
時差が大きいほど時差ぼけは起こりやすくなります。
また同じ時差でも、時間が逆行する方向に行く東回りの移動の方が、
西回りよりも願応が困難で症状はより強い傾向となるようです。
人の体内時計の願応速度はほぼ一日に1~2時間程度とされており、
時差16時間のロサンゼルスで現地時間に馴れるには、
早くても8日程度はかかることになります。

時差ぼけ対策は
①睡眠不足は時差ぼけを悪化させるので旅行前から十分な睡眠をとる
②目的地に夕方以降に着くように飛行機を選ぶ
③出発前に早めに目的地の時間に時計を合わせる
④目的地が夜なら機内では寝るようにし、昼なら起きるようにする
⑤機内での飲酒は脱水や睡眠の質の低下を起こすので控えめにする
⑥到着したらできるだけ現地時間に合わせて食事や睡眠をとる
⑦朝起床したら日光にあたるようにし、軽い運動をする
⑧夜間に眠れないときのためにメラトニンや短時間作用の睡眠薬を適宜服用する
などがあります。

産業の発展とともに交代制勤務者数は増え続けています。
交代制勤務は二交代制・三交代制などのローテーション方式が多いのですが、
最近は非正規社員の増加とともに
仕事や勤務時間が固定でなく多様化していることも指摘されています。
就労時間が変動すると睡眠時間も変化し、
体内リズムと生活上の睡眠・覚醒リズムが合わなくなり、
肉体的・精神的な変調が現れます。
交代制勤務者は高血圧、糖尿病、
自律神経失調やうつ病になりやすいという研究もあります。

この睡眠リズム障害の対処法として
①適切な仮眠時間と室環境
②夜間仕事時の照明の工夫
③帰宅後の寝室環境の調整
などがあります。

n.r25

 

睡眠リズム障害の治療法は十分に確立しているとはいえず、
さらなる研究の発展が望まれます。

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 25」 『琉球新報』 2008年11月10日


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