朝日浴びてリズムを改善

前回は間接照明で寝付きが改善できた方を紹介しましたが、
今日はカーテンの工夫で睡眠が改善し、
昼間のひどい眠気がなくなった豊田さん(26)に登場していただきます。

豊田さんは小学校に勤めていますが、
一~二年前から日中にとても眠くてたまらなくなりました。
仕事中についうとうととして子どもたちをしっかり指導できなくなりました。
あまりに眠いので、 ナルコレプシーといった眠りの病気ではないかと心配して
私の睡眠外来を受惨されました。

まずは、睡眠日誌をつけてもらいました。
一日の睡眠時間を黒く塗り、
眠くなった時間に斜線を書き込んでもらいます。
再診時に睡眠日誌を見ると、
五月の連休はほとんど寝ている状態でした。
昼間も眠かったことを示す斜線が多く記録されています。
よく見ると、休日は平日にくらべて二時間以上長く寝ています。
それに反して平日寝付くのは午前二時ころです。
どうして寝る時間が遅いのか聞きましたが、
「インターネットやテレビを見ていると眠くならず、 寝つきが遅くなってしまいます。
朝は学校に行く時間が決まっているので、 眠いのですが無理やり起きています。
朝から眠いです。」

この方は単に睡眠時間が短いことが原因で、
強い眠気を訴え、活力が低下する状態でした。
若い男性サラリーマンに多く見られます。
助言したのは、テレビやインターネットを控えて
夜は十二時前には眠ること、
朝起きたときには朝日を浴びながら、外で新聞を読むことでした。
遮光性のカーテンを開けたまま眠るようにもお話しました。

一ヵ月後、豊田さんはすっかり元気になって外来に来られました。
「カーテン作戦は大成功!ちっとも眠くありません」

光は体内時計のリズムを変化させます。
夕から夜に強い光を浴びると体内時計が遅れ、
眠くなる時刻が遅くなりますが、
逆に朝に強い光を浴びると体内時計のリズムが早まり、
寝付く時間が早くなります。
夏になると睡眠不足気味になるのは、
この強い光のために早く目が覚め、
夕方は遅くまで明るいので睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が抑制されるため、
結果的に睡眠時間が短くなるからです。

寝起きの悪い皆さん、
遮光性のカーテンを少し開けておくと寝起きが良くなります。
どうぞお試しください。

 

 

出典:宮崎総一郎 「快眠ライフのために⑤」 『京都新聞』 2008年4月29日

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