3歳までに睡眠リズムを

日本人は寝るために飲酒(寝酒)する人の割合が先進国の中でも最も多いようです。
アルコールは寝付きを改善しても、
深睡眠を減らして睡眠の質を悪化させる作用があります。

不眠の人が眠くなるほどの量を飲み続けると、次第にアルコール耐性が上がり、
量も少しずつ増えてアルコール依存症になりやすくなります。
不眠を解決するために飲酒に頼るのは危険です。
睡眠薬よりも寝酒のほうが危険は少ないと誤解している人も多いですが、
不眠には薬物療法のほうが安全です。

しかし、沖縄の長寿者には少量の飲酒を嗜む人が多く、
適度な飲酒は長寿につながるというデータもあります。
アルコールは寝酒としてではなく
、寝る一時間ほど前までに適量を楽しむのが良いようです。

ニコチンは交感神経の作用を高めるので身体が軽い緊張状態になります。
つまり、寝付きを悪くし中途覚醒が多くなるのです。
寝たばこをする人は、気分を落ち着かせるつもりでやっているはずですが、
実際は逆の作用で睡眠の質を悪くしています。

成人以後に良い睡眠をとれるようにするには、
三歳ごろまでにきちんとした睡眠リズムを確立することが大切です。
1995年の調査では、幼児が夜十時以降に寝る割合は40%前後となっています。
小さいときから「宵っ張りの朝寝坊」にすると、
将来、睡眠障害を起こす原因となります。
子どもは大人の生活に合わせずに、
遅くとも夜十時までには寝て十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。
また、保育園児の画一的な長い昼寝は、夜間の眠気を抑えるという指摘もあります。
夜間、寝付きの惑い園児についてはその個人差にも配慮したほうが良いでしょう。

さて、小学校高学年ではかなり夜型化が進んでおり、
睡眠不足で授業中に居眠りする児童が30%にもなるようです。
中高生にもなると、睡眠時間はさらに短くなります。
睡眠が足りず、学校から帰宅後夕方に仮眠を取るため、
夜はさらに寝付きが悪くなるという悪循環を繰り返します。

ゲームや携帯電話、メールなど、
どんな理由であっても子どもが夜更かしを始めたら、すでに問題が起こっています。
夜更かしの結果、
遅刻や不登校などが始まってから対処しようとしても手遅れとなります。

日中、眠気があるのなら、一時間は多く眠るように就寝時聞を早めましょう。
睡眠の習慣は一生を左右するともいえます。
大人は自分自身の睡眠だげでなく、子どもの睡眠にも気を配りましょう。

 

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 16」 『琉球新報』 2008年8月12日


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