5段階ある睡眠の定義

レム睡眠の発見者は、アセリンスキーというシカゴ大学の大学院生です。
彼は事情があって大学を中退し、就職していました。
シカゴ大学の大学院は、知能が高ければ大学を卒業していなくとも 入学できる制度があり、
彼は1951年ごろに大学院に入学し、
クレイトマン教授の指示で睡眠の研究をすることになりました。

彼は、眠っている子どもの閉じたまぶたの下で、
目玉がきょろきょろと動いていることに気付き、
自分の息子や大人の被験者で、脳波と眼球運動の関係を調べました。
そして急速な眼球運動相を発見し、レム睡眠と命名しました。

さらに、レム睡眠中に泣きだした被験者が、悪夢を見ていたことを知り、
レム睡眠中の被験者を起こして夢の有無を聞くと、
ほぼ例外なく夢を覚えていることに気付きました。

このとき初めてレム睡眠で夢を見ていることが明らかになりました。

寝ると筋肉の弛総の程度も強くなるので、
睡眠の深さの判定に筋電図も取り入れました。
研究は53年に発表され、
この成果を基に57年に睡眠の定義は5段階となりました。

起きているとき、脳波はべー夕波という不規則な波になります。
寝るために目をつぶると、規則正しいアルファ波が現れます。
この波は坐概を組んだときのように、
無心で穏やかな気持ちのときにも見られます。
眠りに入ると、睡眠段階一となり、
アルファ波よりもゆっくりしたシーター波が見られます。

その後、紡錘波やK複合体と呼ばれる特徴的な波形が見られる段階二に進みます。
続いて、波長の長いゆっくりしたデルタ波が出現し、
その数が20%を超えると段階三、50%を超えると段階四となります。
段階一、二は浅睡眠、三、四は深睡眠といいます。
深睡眠は脳波の形から、徐派睡眠とも呼ばれます。
段階一から四まではレム睡眠ではないという意味で、
ノンレム睡眠と呼ばれてい ます。

深睡眠の後、レム睡眠に移行します。
レム睡眠は、睡眠開始から約九十分の周期で、一晩に四、五回現れます。

レム睡眠の脳波は覚醒に近い状態ですが、筋肉の弛緩が最も強く、
夢を見ていても動けなくなります。
この時、何らかのはずみで覚醒すると、金縛りが起きます。
深睡眠は睡眠の前半に多く、レム睡眠は朝方ほど長くなります。

 

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 3」 『琉球新報』 2008年5月13日

 


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