足に不快感、睡眠の質悪化

睡眠関連運動障害とは睡眠中に四肢、
特に足が単純で型にはまったような動きをして、
昼間に眠気や疲労感などを起こす疾患です。
レストレスレッグ症候群が代表疾患です。
足に何とも言えない不愉快な感覚が生じるため
足を動かしたくなる状態(restless)で
日本ではむずむず足症候群とも呼ばれています。

不愉快な感覚は座ったり、横になって静かに休んでいる時に強く、
特に夕方や夜に悪化します。
異常感覚を和らげようと部屋を歩き回ったり、足をもんだり、
ストレッチをしたり、水に浸けたりといろいろな動きをします。
睡眠が妨げられるため、昼間に睡眠不足の症状が出現します。
原因として重症の腎不全、妊婦、鉄欠乏や
腰や首などの整形外科や神経疾患があります。
若年発症例では原因不明が多く、この場合、半数以上に家族内発生があります。

次に、周期性四肢運動異常症があります。
足の親指、足首やひざ、持に腕が数秒間周期的にぴくつき、ひきつる現象です。
睡眠中だけでなく覚醒時にも見られます。
ぴくぴく刺激で脳が覚醒するので睡眠の質を悪化させ不眠症の原因となります。
しかし本人は睡眠中の症状に気付いていないので、
不眠で受診することがほとんどです。
不眠症の診療では医師が足の不快感や痛みなどについて積極的に問診し、
また、家族に確認しないと見逃されることもあります。

これらの確実な診断は睡眠ポリグラフィー検査で行います。
周期性四肢運動異常は単独で起こることは少なく、
レストレスレッグ症候群で八割以上、
レム睡眠行動異常症で七割、
ナルコレプシーで五割に併発します。
治療に際してはどの疾患が主であるか、
問診やポリグラフ検査で注意深く判断する必要があります。

このほか睡眠関連下肢筋けいれんがあります。
突然、筋が収縮してこわばり、痛みを伴う状態で強く引きのばすと改善します。
腓返り、沖縄の方言では”がらすまがい”です。
昼にも出現しますが睡眠中や起きがげに強い筋肉痛が起こるので、
寝るのが怖いと訴える患者さんもいるほどです。
年に数回程度から毎晩起こす人もいます。

睡眠関連運動障害もあまり知られていない疾患です。
二十年以上たって診断された例や心因性と誤解された例などもあります。
治療薬としてドーパミン製剤が有効で欧米では第一選択薬ですが、
日本ではまだ保険で認められていないため治療に困ることもあります。

 

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 28」 『琉球新報』 2008年12月8日


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