治療で生活全般が改善

あるお母さんから今年二月に手紙がきました。

「真明(仮名)はこの春から一年生です。
生まれつきのの陥没があり、漏斗胸と診断されました。
扁桃腺が大きいこと、
いつも寝ている時は口呼吸をして、
時々数秒間の無呼吸状態になる、
成長が他の兄弟に比べてかなり小さい(身長110㌢㍍、体重18㌔㌘で五才ぐらいの平均しかない)などを考えると、
扁桃腺肥大も漏斗胸もお互いに因果関係があるのではと思えるのです」

「からだも弱くこの一年で保育所を五十日あまりお体みしました。
また、怒りっぽくよく兄弟げんかをします。
このまま小学校に入って元気に大きくなっていくのだろうかと不安になります」

三月の手紙です。
「耳鼻科に行ってきました。
耳鼻科診察の結果、扁桃肥大で、
ややアデノイドも大きい事、喘息があることなどから、
切除を勧められました。
睡眠時の呼吸、無呼吸状態などをモニターをつけて一晩検査し、
ビデオによる睡眠時の呼吸の様子を撮影しました。
いびきをかきながら、のどと漏斗胸のところがへこむのを見て、
やはり負担がかかっているのだなぁと思いました」

四月に結果報告がきました。
「扁桃腺摘出手術後には、
家族のだれもが『手術してよかったね』というほど、
元気になり、
夜中も息をしているのかしら?と心配するほど静かに寝ていますし、
喉も漏斗胸のところにも手を置いてみても
負担がかかってないのがよくわかりります。
何より毎日していたおねしょをしなくなりました。
学校の先生も給食の食べっぷりに驚いています。
よく眠れるせいでしょうか、
いらいらもなくなりとても明るくなりました」

いびきのひどいお子さんでは、
目覚めが遅く、無理に起こさなければならない、
二時間以上の長い昼寝、
眠る時刻が遅い、
一晩にわたるいびき、
夜中に何度も目を覚ましたり、
おねしょ等の症状がでます。
昼間は元気がなく、
すぐ怒ったり、
攻撃的になることもあります。
呼吸障害のために良い睡眠が取れないことが原因です。

適切ないびき治療により、
早い時間に自然に覚醒し、
日中は昼寝することなく遊ぶようになり、
夜は疲れて早い時間に自然に眠るようになります。
おねしょもしなくなり、明るく元気な子どもになります。

 

出典:宮崎総一郎 「快眠ライフのために⑲」 『京都新聞』 2008年8月5日


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