段階で脳の働き変化

ノンレム睡眠とレム睡眠の特徴と役割ですが、
ノンレム睡眠で睡眠が浅いときは、夢うつつ状態になり、
日中では白昼夢がみられます。
睡眠が深くなるに従い、脳の活動は最低となり、 体温も低下傾向になります。
このため、ノンレム睡眠は大脳機能を守るための脳の休息とも表現されます。

深睡眠時には、成長ホルモンが大量に分泌されます。
子供は成人に比べて、睡眠の前半の深睡眠が長く、
成長ホルモンが多く分泌されます。 ”寝る子は育つ”わけです。

睡眠中に歩き回ったりする夢遊病や、
子供が急に起きてわめいたりする夜驚症は、
深睡眠から急に覚醒するときに出現します。

従来はレム睡眠だげの現象とされていた夢も、
近年、ノンレム睡眠でも思考的な夢見があることが知られています。

実験的に、肺炎を起こしたウサギやネズミは、
深睡眠が多いほど生存率が高いという研究もあり、
ノンレム睡眠は免疫力の回復や増強とも深く関係しているのです。

レム睡眠は、脳波は起きている状態に近いのですが、
筋肉はぐったりして体は動かなくなっています。
その意味では、レム睡眠は体の眠りともいえます。
しかし、レム睡眠の脳の酸素消費量は、起きているときよりも高くなります。

従来、寝ると脳の活動もすべて低下していると思われていましたが、
こうした脳の活発な活動は、起きているときに取り入れた情報の記憶や整理、
再構築、脳の働きの整備点検を積極的に実行しているためだと考えられています。
このことから、レム睡眠は逆説睡眠、活動睡眠とも呼ばれます。

レム睡眠では、ノンレム睡眠で安定する血圧や呼吸が急激に変動するため、
血液が固まりやすく、心筋梗塞なども発症しやすいという説があります。
性欲とは関係ない生理的な勃起も見られるので、
勃起障害の診断にもレム睡眠が使用されます。

体の動きからみると、覚醒時は活動、睡眠時は不動、
休止と単純にとらえられがちです。
しかし、脳の活動からみると、覚醒時は生存のため の情報収集や思考をしており、
睡眠時は日中の活動を維持するために、 情報を処理し、
発育や修復、免疫防御を脳が積極的に実行しているのです。
脳は単純に寝ているわけではないのです。

n.r4

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 4」 『琉球新報』 2008年5月20日


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