徹夜の空腹対策

秋田県で設計事務所を経営している伊藤さん(40歳、男性、仮名)は
睡眠時無呼吸症候群で治療を受けています。
この病気の治療には、減量が必要ですが、なかなかダイエットできないでいます。
というのも、仕事が忙しくなると睡眠時間が4時間程度になることがざらですが、
そのような状況では、深夜に空腹感をおぼえつい食べてしまうからです。
食事が一食増えてしまうような状況です。
睡眠不足が1週間も続くと、体重が5キロも増えてしまうとのこと。

 

ストレスの結果

 

徹夜をすると脂っこいものや炭水化物、特にラーメンなどが食べたくなりませんか。
昼間よりも食欲が増して、かつ丼などのこってりしたものを食べてしまい、
体重が増えてしまったという話をよく聞きます。
「起きて働いているからおなかが空くのは当然」と思いがちですが、
実はそうではありません。
おなかが空くのは「徹夜」というストレスに対抗しようとする体の反応によるものなのです。

睡眠をきちんととらないでいることは体にとって大きな負担。
そのためストレスホルモンの一種で胃から分泌されるグレリンが増加し、
空腹感を増進させて炭水化物や脂っこいものなどが食べたくなるように仕向けるのです。
一日の睡眠時間を4時間に制限すると、
たった2日後にグレリンが28%も増加したという研究結果があります。
(余談ですが、胃をとってしまうとこのグレリンが出なくなるので空腹感をあまり感じなくなります)

さらに、4時間しか眠らない場合、満腹感の信号を脳に伝え、
代謝を高めるレプチンというホルモンが18%も減ってしまったのです。
言い換えれば食欲抑制ができなくなり、代謝も低下するのです。
睡眠不足が続くと、これらのホルモン変化のダブルパンチで、
こってりしたものが食べたくなるばかりか、代謝が低下し太りやすくなるのです。

だからといって、徹夜のときはなにも食べない方がいいというのではありません。
空腹を抑えるようなものを少し口にするのは構いません。
深夜に働くときにふさわしい食べ物は、
低脂肪のタンパク質、お米、パン、イモ類などの複合炭水化物です。
ラーメンや丼ものは、脂肪が多く消化に時間がかかり眠気を誘いますので控えましょう。
表に深夜の食事をまとめました。

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長過ぎても問題

 

睡眠不足で肥満になるなら、
長く寝ていればダイエットになるかというと、そうでもありません。
睡眠時間と肥満度を調査した研究では、
睡眠時間の短い人は当然のことながら、
9時間以上眠っている人たちも肥満度が高かったのです。
もっとも肥満度が低かった睡眠時間は7~8時間でした。
肥満だけでなく、血液中の中性脂肪や、
悪玉コレステロールの値も7時間前後の睡眠の人が一番低いとの報告もあります。

皆さん!睡眠不足は、肥満の大敵。
ゆっくり眠ってスマートダイエットを今晩からいかがでしょうか。

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「出典:宮崎総一郎 『全国商工新聞 』2012年8月6日」


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