個人差大、自分の特性知ろう

今年二月に開催された東近江市の市民講座で、
「何時間眠るのが良いのでしょうか?」
と質問されました。
答えは、「睡眠時間は人それぞれです。朝起きて熟睡感があり、
昼間に支障なく活動できれば良い睡眠が取れているとお考えください。」

長く眠らないと調子がでない人、
短くてもすっきりしている人、
人それぞれバラエティーがあります。
あなたはどちらでしょう。
①寝つきは大変良い
②目覚めはいつも爽快だ
③毎夜6時間未満しか寝床にいない。
この三項目に該当するならあなたは「短眠者」です。
④毎夜9時間以上は寝床の中ですごす。
に該当するなら、あなたは「長眠者」です。
毎夜6~9時間寝ているなら普通の人です。
短眠者、長眠者はそれぞれ人口の5~10%を占めています。

一方、2004年に報告された日本人の睡眠時間と死亡の危険率を調べた検査では、
6時間半~7時間半の人がもっとも危険率が低く、
4時間以下や9時間以上寝ている人では、危険率が1.3~1.6倍高くなっていました。

アインシュタインは10時間以上眠らないと調子が出ない
長時間睡眠者の代表ですが、相対性理論もベッドの中で思いついたとのことです。
逆にナポレオンやイギリスのサッチャー元首相は短時間睡眠の代表です。
一概には言えませんが、長時間眠る人は創造的、芸術的な仕事をする人に多く、
短時間睡眠者は政治家に多いそうです。

寝起きで分けると「朝型」と「夜型」に分かれます。
早寝早起きである、
午前中のほうが頭が冴えているなら、あなたは朝型です。
宵っ張りの朝寝坊で、
午後から調子でるタイプなら、あなたは夜型です。

人によって体内時計には進んでいる人もいれば、遅れている人もいます。
朝型と夜型の人では体温リズムも異なります。
図のように、体温のピークが早めに来る人は朝型、遅めに来る人は夜型です。
どちらの型であっても昼夜リズムが社会の時計と同調し、
生活が規則的に繰り返されている限り問題ありません。

少なくとも、睡眠に関する限り
「早起きは三文の徳」が良いわけでもなければ、
「宵っ張りの朝寝坊」が悪くもありません。
睡眠時間やリズムは人それぞれです。
自分の睡眠特性を知って、うまく社会に適応し、
楽しく生活することが大切です。

 

出典:宮崎総一郎 「快眠ライフのために⑪」 『京都新聞』 2008年6月10日


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