昨年の「全国学力・学習状況調査」(学力テスト)で
秋田県の小学六年生の成績が全国で最も良く、
中学三年生でもトップクラスだった。
これは睡眠と関係があるのだろうか。
今回は睡眠と子供の学力の関連ついて詳しく見てみたい。
広島県教育委員会の「平成十五年度『基礎・基本』定着状況調査報告書」で
興味深いことが分かった。
小学五年生で、国語、算数とも五時間、六時間と睡眠時闘が長くなるにつれて
児童の成績がアップし七時間以上十時間未満で最良になるが、
それ以上寝ると再び成績が下がっていたのだ(表参照)。
百マス計算により、
子供の学力を飛躍的に改善したことで有名な陰山英男・立命館大教授は
二〇〇三年度から三年間、岡県尾道市の小学校長を務めていた当時、
一般的にいって、かつての子供の方が学習時間は多かったものの、
ゆとりを感じていたのではないかと指摘している。
陰山教授は十分な睡眠を取ることで頭がすっきりして学習に集中でき、
一日を有意義に過ごせ、心理的にも余裕が生まれていたとみるのだ。
そうした状況を悪くした原因として、
挙げたのがテレビやインターネット、携帯電話の普及。
現代の子供は一日二時間以上をインターネットや携帯電話などに費やし
睡眠時闘が削られているとし、
子供たちの精神面に与える影響は計り知れないと警鐘を鳴らしている。
O六年に山口県で行われた調査では、
学力偏差値と知能指数のどちらも就寝時刻が午後九時までの子供が最良で、
それよりも遅くなるにつれて明らかに低下していた。
一方、同八時前と就寝時刻が早過ぎる場合も点数が悪かった。
秋田県でも睡眠時間と成績の関係について分析が行われ、
報告されることが期待される。
睡眠はヒトの心身の中枢である脳を育て、守り、修復する大切な役割を果たしている。
適切な睡眠は子供の成長過程において、最も重要な要素の一つといえる。
出典:宮崎総一郎 「眠りの不思議2」 『秋田魁新報』 2009年2月2日