睡眠リズム守ろう

脈拍と同じように睡眠にも体内時計によるリズム(周期)があります。
このリズムが乱れて夜間の不眠や日中の過眠を起こし社会生活、
仕事に支障を来すと睡眠リズム障害と呼びます。
人間は通常夜間十一時から十二時に寝て朝六時から七時に起きます。
この一続きの睡眠を睡眠相と呼びます。

この睡眠相が朝のほうにずれて、
例えば午前三時や四時にならないと就寝できず
そのため起床時間も後ろにずれて十時や十一時になってしまう状態が続くと
睡眠相後退症候群と診断されます。
睡眠自体の質は異常がないことが多く、
本人が好きな時間に寝て起きることが許されるなら覚醒時は普通の生活ができます。
しかし通常の朝の登校や出社は困難で社会生活に適応することが困難となります。
不眠症、不登校、出社困難などとの区別が必要です。

不眠症と違い後退症候群では睡眠薬は効果がなく、
かえって覚醒後の眠気を悪化させることもあります。
不登校や出社困難では就寝時間が日によって変動すること、
また自分にとって大事なことがあるときは
早めに起床できるなどの点が後退症候群と異なります。

高齢者は健常者でも早寝早起きの傾向になりますが、それが極端になり
午後七時には寝て午前一時あるいは二時に目が覚めて
その後は眠れなくて因る状態が続くのが睡眠相前進症候群です。
症状としては早朝の不眠と午後や夕方の眠気です。
先進症候群では本人は日常生活に支障を来し困っていることが多いのですが、
高齢者が多いことや本人が強く訴えないこともあり、
社会でも医療者にも無視されていることが多いようです。
リズム障害はこの他に一日三回以上寝る不規則型や
二十五時間周期で眠る自由継続型などがあります。

診断は就床時間や起床時間を記録する睡眠日誌や
時計のように腕にはめて体の動きを記録するアクチグラムなどを用います。
また他の睡眠障害と区別するために睡眠ポリグラフが必要なこともあります。
治療には光を用いる高照度療法、
寝る時間が夜の十一時ごろになるように
数日間就寝時間を三時間程度ずつ意図的に遅らせる時間療法があります。
入眠促進ホルモンであるメラトニンや
メラトニンの産生を促進するビタミンB12なども使用されます。

率直に一言って睡眠リズム障害は治療に難渋することが多く、
日ごろの睡眠習慣に気を配り、予防を心掛けることが大切です。

n.r24

 

出典:名嘉村 博 「良い眠り 良い人生 24」 『琉球新報』 2008年10月27日


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