睡眠ホルモン・メラトニン

メラトニンとは、脳の奥深くにある「松果体」という器官から
分泌されるホルモンの一種。
体内のメラトニンの量が増えると眠くなるため、
睡眠促進ホルモンとも呼ばれています。

目→視神経→視交叉上核→上頚部交感神経節といった経路をたどって、
最終的に松果体に達する神経ネットワークがあります。

光を感じている昼間の時間帯はその分泌は抑制されます。
光が弱くなる夕方頃からメラトニンは増え始め、
午前2~3時頃ピークに達します。
そして、朝に向かって分泌量は減少していきます。

メラトニンの分泌量は、年齢によっても変化します。
生後約3ヶ月まではごく少量のメラトニンしか作っていませんが、
成長とともに増加して脳の松果体が発達する6~7歳頃には、
分泌量が最大になり、思春期を迎える16歳頃から今度は減少していきます。

メラトニンには睡眠をうながすだけでなく、解毒作用や老化の原因といわれる
活性酸素を中和する働きがあることもわかってきています。

メラトニンは多様で大切な役割をもっていますが、光によって分泌が影響されるため、
夕方から夜にかけて明るい環境にいると、
その分泌が抑制され、よく眠れなくなることがあります。
これが、夜が明るくなった現代の不眠増加の大きな原因とも考えられます。

コンビニや塾で無意識に受けている強い光は、
子どもたちの睡眠に大きな影響を与えていると考えられます。
また、メラトニンには、思春期まで性腺の刺激を抑制する働きもあります。
最近の子どもが初潮を早く迎える原因には、
夜の光の影響があるともいわれています。

 

出典:宮崎総一朗『伸びる子供の睡眠学』(恒星社恒生閣、2009年)、p47


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